
社労士試験、受けてみようかな
試験科目は、全部でいくつあるんだろう?
これからどんな学習をしていくのか、イメージを膨らませたいな
こういった疑問に答えます。
- 社労士試験で学ぶ「主要10科目」を概観します
- 出題形式にあわせ、「主要10科目」を7科目〜8科目に分類します
- 択一式・選択式それぞれの特徴を、試験科目の観点からチェックします
この記事を書いている私は、平成最後の社会保険労務士試験に合格しています。

このページでは、社労士受験への挑戦を検討している人向けに、試験で問われる主要10科目を、ざっくり解説しています。
身近な例を取り上げて、シンプルにまとめました。
社労士受験では何を学ぶのか?
どんなことを覚えなければならないのか?
全10科目のガイドツアーを、お楽しみください。ヽ(´ー`)ノ
社労士試験の試験科目|主要10科目

社労士試験で学習する「主要10科目」は、下記のとおりです。
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
上記のとおり(漢字の圧がスゴイ…)。
いきなり10科目も突きつけられると、目が回りそうですね。
でも実は、どの科目のテーマも「労働」「社会保険」の、どちらかです。

この科目は、”労働” と ”社会保険”、どっちかな?
そんな視点で見つめれば、ちょっとだけ10科目が身近に感じられますよ。ちょっとだけ。
では次に、それぞれどんな科目なのか、学習内容にも触れながら解説していきます。
身近な例を織り交ぜているので、具体的にイメージしながらお読みください。m(_ _)m
主要10科目をざっくり解説
社労士受験で学ぶ10科目を、ざっくりチェックしましょう。
1. 労働基準法
労働に関する最低基準ルールを定めた法律。
社労士受験の世界では、通称 ”労基” と呼ばれます。
- 「労働時間:週40時間以内」の例外は?
- 残業代の計算方法は?
- パートタイマーも有給を取れる?
- 小学生が労働するための条件は? など
休日を振り替えて労働させた場合、割増賃金の支払は不要。
休日労働の後に代休を与えた場合、割増賃金の支払が必要。
労働基準法の勉強法について詳しくは、【社労士】労働基準法の勉強方法【ポイント】をご覧ください。
2. 労働安全衛生法
労働の中でも「安全」と「衛生」にフォーカスした法律。
通称 ”安衛” 。
- 東京タワークラスの高さの塔を建設する場合、いつまでに届出する?
- 会社の健康診断は、いつ、どのくらいの頻度で実施する?
- ストレスチェックを行えるのは、医師の他にどんな人? など
安全管理者は、作業場等を巡視し、危険のおそれのあるときは、直ちに、危険防止の措置を講じなければならない。
労働安全衛生法の勉強法については、【社労士】労働安全衛生法の勉強法【ポイント】をご覧ください。
3. 労働者災害補償保険法
労働中の災害(病気やケガ)について、会社側がすべき補償を定めた法律。
通称 ”労災” 。
- 通勤中の事故によるケガは補償範囲?出張中の業務終了後に被ったケガは?
- 休日に催された、会社のレクリエーションが原因で病気になったら?
- 過労死の認定基準は?
- 労災保険に加入できる社長とは? など
労働者が業務上死亡したとき、葬祭を行う者に対して、葬祭料が支給される。
労災保険法の勉強法は、社労士試験の労災が難しい…勉強のポイントは?をどうぞ。
4. 雇用保険法
就職したり働き続けたりしやすいように、雇用の保険制度を定めた法律。
通称 ”雇用” 。
- 会社をやめた後、いわゆる”失業手当”はいつまでもらえる?その金額は?
- 再就職したら、どんな手当をもらえる?
- いわゆる”育休手当”をもらうには?その金額は?
- 労働者が会社を辞める際、会社がハローワークに提出する書類は? など
偽りその他不正の行為によって失業等給付の支給を受けようとした者は、その不正の行為があった日以後、失業等給付は支給されない。
>>【社労士】雇用保険法が難しい…覚え方のコツを合格者が解説
5. 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
労働保険料の徴収ルールを定めた法律。
通称 ”徴収”。
- そもそも労働保険って何?
- 労働保険料って誰が払うの?その金額は?
- 払いすぎた保険料の扱いは?
- 労働保険関連の優良企業に対する優遇措置は? など
その事業が廃止され、または終了した日の翌日に、保険関係が消滅する。
6. 健康保険法
プライベートで病気やケガになった際の保険制度「健康保険」に関する法律。
通称 ”健保” 。
- 病気やケガで働けなくなったら、収入はゼロ?
- 扶養に入れるのはどんな人?
- どんなに高額だろうと、医療費は全額支払わなければならない?
- 健康保険組合って?どうすれば設立できる? など
賞与とは、報酬のうち3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものをいう。
7. 国民年金法
年金制度のベースとなる「国民年金」について定めた法律。
通称 ”国年” 。
- 年金ってどんな種類があるの?それぞれ、もらえる金額は?
- 年金をもらうための条件は?
- 保険料はいくら払えばいい?免除の条件は?
- 国民年金基金って何? など
原則として、老齢基礎年金の支給開始年齢は65歳。
ただしこの年齢は、60〜70歳までの間で、繰上げまたは繰下げることができる。
8. 厚生年金保険法
年金の2階建て部分「厚生年金保険」について定めた法律。
通称 ”厚年” 。
- 国民年金と何が違う?対象者は?
- 年金額の計算方法は?
- 雇用保険の手当もある場合、どっちも受け取っていいの?
- 年金をもらえなくなるのは、どんな時? など
遺族厚生年金の受給権者が婚姻したとき、その受給権は消滅する。
>>【社労士】難しい厚生年金保険法の勉強法【攻略のポイント】
9. 労務管理その他の労働に関する一般常識
労働法や労務管理手法、労働経済の動向など、幅広い知識が問われる科目。
通称 ”労一” 。
- 労働者派遣ってどんな仕組み?
- 育児や介護で会社を休む人は、どうやって保護される?
- インフラ系など、公益性の高い会社の労働者はストライキを起こせないの?
- 近年の失業率や有給取得率の推移は? など
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、一年に5日まで、病気・ケガをした子のために看護休暇を取得できる。
10. 社会保険に関する一般常識
社会保険関連法や社会保険制度の沿革など、幅広い知識が問われる科目。
通称 ”社一” 。
- そもそも、”社会保険”って何?その定義や歴史は?
- 高齢者の医療費はどうやって賄われているの?
- 介護保険のサービスや保険料は?
- iDeCoって何? など
介護保険の被保険者の資格は、その市町村の区域内に住所を有した日に取得する。
10科目のざっくりガイドツアーは、以上です。
ざっくりを重視したので、

いやいや
老齢基礎年金の繰下げは、65歳に達した日から66歳に達した日までの間に、他の年金たる給付の受給権者となったら、できませんよね?ん?
など、細かなツッコミは勘弁してください。m(_ _)m
ここまで社労士試験の試験科目を、学習者目線から ”10個” に分類してきました。
しかし試験本番では、その出題形式から ”7科目 or 8科目” で問われます。
次にこの10科目を、本試験の出題形式にあわせて7科目 or 8科目に分類しなおしましょう。
社労士試験の試験科目|出題形式から分類

社労士試験では、「択一式」「選択式」2つの形式で出題されます。
「択一式」「選択式」それぞれに分けて、試験科目の分類を見ていきましょう。
択一式試験
択一式試験では、次の7科目が出題されます。
- 労働基準法・労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 雇用保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律
- 一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
上記のとおり。
択一式は7科目で、10問ずつ出題されます。1問1点、計70点です。
- 「労基」「安衛」がセットで出題される
- 「労災」「徴収」がセットで出題される
- 「雇用」「徴収」がセットで出題される
- 「労一」「社一」がセットで出題される
また、そもそも択一式とは、5つの選択肢から解答する形式の問題です。
次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 〜〜〜〜
B 〜〜〜〜
C 〜〜〜〜
D 〜〜〜〜
E 〜〜〜〜
次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 〜〜〜〜
B 〜〜〜〜
C 〜〜〜〜
D 〜〜〜〜
E 〜〜〜〜
こんな感じ。
マーク式試験でよく見る問題ですね。

お、一個選ぶだけか
これならイケそうじゃん!
と思うかもしれません。
しかし中には、クセのあるイヤラシイ問題もあります。
次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
ア 〜〜〜〜
イ 〜〜〜〜
ウ 〜〜〜〜
エ 〜〜〜〜
オ 〜〜〜〜
A(アとイ)
B(アとウ)
C(イとエ)
D(ウとエ)
E(アとオ)
次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 〜〜〜〜
イ 〜〜〜〜
ウ 〜〜〜〜
エ 〜〜〜〜
オ 〜〜〜〜
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ
択一式のイヤラシイ問題例は、上記のとおり。
特に、最後の「いくつあるか問題」がクセモノです。
ア〜オすべての文章を、完璧に「正しい・間違っている」と区別しなければ、正解はできません。
そんな「いくつあるか問題」に苦労して正解しても、得点は1点だけ。
労力的に、3点くらい与えてほしいところなのに…。(;´∀`)
…と、ここまでが「択一式」の説明でした。
つづいて、「選択式」について。
選択式試験
選択式試験は、次の8科目が出題されます。
- 労働基準法・労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
上記のとおり。
選択式は8科目で、各5問ずつ出題されます。1問1点、計40点です。
つまり、社労士試験の総得点は、
- 択一式:70点
- 選択式:40点
- 合 計:110点(満点)
ですね。
選択式の科目分類の特徴は、下記のとおり。
- 「徴収法」からは出題されない
- 一般常識科目は、「労一」「社一」の2科目に分かれている
「選択式」では、文章や図表の一部が穴あきになっていて、その穴を埋める形で問われます。
あらかじめ20の選択肢が用意されており、20の選択肢の中から正しいものを選びます。
…ちょっと分かりにくいかもしれませんね。
実際の過去問は、社会保険労務士試験オフィシャルサイトにて無料ダウンロード可能です。
詳細は、実物をご覧ください。m(_ _)m
以上を踏まえ、10科目の出題数を、一覧表で確認しましょう。
択一 | 選択 | 合計 | 割合 | |
労働基準法 | 7 | 3 | 10 | 9% |
労働安全衛生法 | 3 | 2 | 5 | 5% |
労災保険法 | 7 | 5 | 12 | 11% |
雇用保険法 | 7 | 5 | 12 | 11% |
労働保険徴収法 | 6 | – | 6 | 5% |
健康保険法 | 10 | 5 | 15 | 14% |
国民年金法 | 10 | 5 | 15 | 14% |
厚生年金保険法 | 10 | 5 | 15 | 14% |
労働一般常識 | 5 | 5 | 10 | 9% |
社会保険一般常識 | 5 | 5 | 10 | 9% |
70 | 40 | 110 | 100% |
例年の出題傾向は、上表のとおり。
受験の際は、受験案内をご覧ください。
こう見ると「労働安全衛生法」は5問、「労働保険徴収法」は6問と、出題数は少なめ。
対して「健康保険法」「国民年金法」「厚生年金保険法」の出題数は、15問と多めですね。
また「労働基準法」が10問で、「労災保険法」「雇用保険法」の12問よりも少ない点は、ちょっと意外に感じるかもしれません。
どの問も1問1点で、(基準点を度外視すれば)試験上の価値は同じです。
科目ごとの学習量は、出題数に合わせてコントロールすると良いですよ。
このように社労士試験は、択一式7科目、選択式8科目で問われます。
暗記科目?理解科目?
しばしば社労士試験は、「暗記型の試験だ」といわれます。
たしかに知識を暗記するだけで得点できる問題が、いくつも出題されます。
”社労士試験は暗記勝負”という一面には、私も同意です。
しかし一方で、労働・社会保険の仕組みは、複雑です。
複雑な法制度を体系的に理解するには、暗記だけでは太刀打ちできません。
こう聞くと、「この科目は暗記重視?それとも理解重視?」と二元論で考えがち。
個人的には、暗記・理解は両輪と捉えるべき、と思っています。
上記のとおりです。
…とまぁ、本音はこうなんですが…これで終わるのは、ちょっと味気ないですね。笑
あえて分類するのであれば、次のようになるでしょうか。
- 労働安全衛生法
- 雇用保険法
- 労働保険徴収法
- 労働基準法
- 労災保険法
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
※個人の見解です。m(_ _)m
結局、どの科目でも、暗記・理解の両方が必要です。
実際に学習する際は、「暗記か?理解か?」と、こだわり過ぎないよう気をつけましょう。
社労士試験の試験科目|まとめ

社労士試験では、択一式:7科目、選択式:8科目が出題されます。
しかし学習時には、「全部で10科目」と捉えるとわかりやすいと思います。
科目ごとに”空気感”が違うので、まずはその”空気感”をつかむため、テキストを3周、通読しましょう。
3周繰り返して、チンプンカンプンでも構いません。
私の場合は3〜5周学んで、ようやく全体像がぼんやり見えてきたかな、という印象でした。
合格には、戦略的な学習が求められます。
各科目のクセをつかんで、コツコツ学んでいきましょう。